かぜ(急性上気道炎)とは
身近な感染症である「かぜ」とは、急性上気道炎のことで、そのほとんどはウイルス感染によるものです。
ウイルス感染の広がりと細菌の2次感染によって、急性鼻副鼻腔炎や急性咽頭炎、急性喉頭炎などに移行します。重症化すると急性気管支炎や肺炎を発症します。耳鼻咽喉科では鼻からのどにかけて詳細に診察することにより、ウイルス感染に対する対症療法がよいのか、細菌感染に対して抗菌薬の投与が必要なのか判断して治療します。
かぜ(急性上気道炎)の症状
かぜの症状は、発熱に加えて、急性鼻炎、急性咽頭炎、急性喉頭炎としての症状が認められます。
急性鼻炎
鼻粘膜の急性炎症によって、くしゃみや鼻水といった症状をきたします。時期によっては花粉症との判別が困難なことがあります。
急性咽頭炎
のどの痛みで始まることもあります。食べ物が飲み込めない、声がこもるなどの症状があるときはできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。
急性喉頭炎
のどの痛みに加えて声がれ(嗄声)を生じることもあります。激しい痛みや息苦しさなどの症状があるときは直ちに耳鼻咽喉科を受診してください。
かぜ(急性上気道炎)になる原因
かぜの原因は、ライノウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、エンテロウイルス属、インフルエンザウイルス、コロナウイルスなどのウイルス感染によるものがほとんどですが、一部は細菌などの感染によって発症することもあります。
かぜ(急性上気道炎)の診断と治療
発熱、鼻水、咳、のどの痛みなどの症状と局所所見で診断します。ウイルスの抗原検査(インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、アデノウイルスなど)、A群β溶血性連鎖球菌の抗原検査、細菌培養検査などを行うこともあります。
ウイルス感染が主体の初期には、基本的に抗菌薬の投与は行いません。解熱鎮痛剤など症状を抑える薬物療法で、ご自宅で安静にお過ごしください。発熱時には水分が不足しがちですので、こまめに水分を補給してください。
なお、溶連菌感染など細菌感染が疑われる場合や、細菌の2次感染が認められる場合は、抗菌薬を投与します。
かぜ(急性上気道炎)の予防方法
かぜの予防では、ウイルスや細菌に感染しないことが重要です。以下のような点に十分にお気をつけください。
手洗い・アルコール消毒
私たちは無意識のうちに、さまざまなものに触れています。ご帰宅時、食事前、お手洗い後などは、しっかり手洗いをしてください。とくに、指の間、手の甲、手首、爪の間にも注意して、石鹸・ハンドソープを使って洗ってください。また、手洗い後のアルコール消毒は、より予防効果を高めます。
うがい
水でうがいをするだけでも、かぜのリスクを40%減少させると言われています。ご帰宅時には、うがいをする習慣をつけてください。
マスクの着用
マスクの着用により、ウイルスを吸い込む量を減らす、飛散させる量を減らす効果があります。また、鼻や喉を乾燥から守り、ウイルスに対する粘膜の防御機能を維持する効果も期待できます。マスクの種類では、ウイルスを通しにくい不織布マスクがおすすめです。