難聴・突発性難聴・耳鳴り

難聴とはどんな状態?

難聴とはどんな状態?難聴とは、音やことばが聞こえにくい状態を指しますが、その程度には個人差があります。聴力検査で軽度から高度な難聴まで診断することができますが、老人性難聴のように、音よりもことばの聞き取りが悪くなる場合もあります。難聴の受け止め方は、患者さんの生活環境や仕事内容によっても大きく異なります。聞こえづらさの感じ方はさまざまですので、難聴の程度に関わらずお気軽にご相談ください。
難聴の種類は、音の伝わり方が障害される「伝音難聴」と、音の感じ方が障害される「感音難聴」、その両方を合併する「混合難聴」に大きく分けられます。

伝音性難聴

外耳から内耳へ、“音が正しく伝わらないことで起こる難聴”です。中耳炎などが原因になることが多く、手術による聴力改善が期待できます。

感音性難聴

内耳に問題があり、“音を正しく感じ取れないことで起こる難聴”です。老人性難聴など内耳における音を感じる細胞の傷害で生じることが多く、手術による聴力改善は期待できません。

混合性難聴

伝音性難聴と感音性難聴を併発している難聴です。補聴器はどの種類の難聴にも使用できます。ただし耳漏のある耳では使用できませんので、適切な治療により耳漏を止める必要があります。

こんな症状はありませんか?

こんな症状はありませんか?

  • 何度も聞き返してしまう
  • 車が近づいていたことに気づかず危険な思いをした
  • 電話での通話が不安、聞こえにくい
  • ちゃんと聞こえるか不安で会話がおっくう
  • 聞こえたふりをして話を続けてしまうことがある
  • 耳鳴り、耳閉感などの症状を伴う

一度耳鼻咽喉科を受診して、難聴の程度を確認し、耳疾患の有無や治療の可能性をみてもらってはいかがでしょうか?

難聴を放置していませんか?

年齢にともなって耳がとおくなるのが、老人性難聴です。音よりもことばの聞き取りが悪くなることも多いです。難聴の程度には個人差が大きく、早めに補聴器を使用される人もいれば、いつまでも聴力が悪化しない人もいます。
2017年7月、国際アルツハイマー病会議(AAIC)では、「難聴」が「高血圧」「肥満」「糖尿病」などとともに認知症の危険因子の一つにあげられ、難聴と認知症の関連が注目されています。難聴があるとコミュニケーションがとりにくくなり、社会的に孤立して認知症につながると考えられています。
聞こえづらいと感じても、「年齢のせい」と決めつけてしまわずに、一度耳鼻咽喉科を受診していただき、難聴の程度はどれくらいか、耳疾患がないか、治療可能な難聴の可能性はないか、補聴器の適応はどうかなど確認してください。

ある日突然聞こえなくなる突発性難聴

ある日突然聞こえなくなるため注意が必要な突発性難聴ある日突然、耳が聞こえなくなるのが、突発性難聴です。
突発性難聴では、できるだけ早く診断して、治療を開始することが重要です。とくに発症後2週間以内に治療を開始すると、聴力が回復する可能性が高くなります。「そのうち治るだろう」「少し様子を見よう」などと自己判断せずに、耳鼻咽喉科を受診してご相談ください。

突発性難聴の原因

突発性難聴の原因は十分に解明されていませんが、ウイルス感染や血液循環障害によって、音を感じる内耳の有毛細胞が障害されて発症すると考えられています。ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病などもその発症に影響しています。

突発性難聴の症状

突発性難聴の症状

ある日突然、片側の難聴が生じます。耳鳴りや耳閉感を伴うことも多いです。難聴の程度はさまざまですが、高度難聴例ではめまい症状を伴うこともあります。

突発性難聴の治療

ウイルス感染や血液循環障害によって傷害された有毛細胞に対して、抗炎症作用を有するステロイド薬を中心に、血管拡張薬、代謝改善薬、ビタミンB12などを併用した薬物療法を行います。
当院ではステロイド薬の内服投与を行っています。多くは2週間程度の短期間投与ですので、副作用の心配はほとんどありませんが、ステロイド薬治療によって影響の出るご病気がないか血液検査でチェックし、副作用の可能性についてもご説明いたします。とくに、ステロイド薬は糖尿病を悪化させるので、糖尿病があって血糖コントロールが必要な患者さんは連携病院にご紹介いたします。
ステロイド薬治療を行った場合でも、完治が1/3、改善が1/3、不変が1/3程度で、全例が回復するわけではありません。とくに、難聴の程度が高度で、めまいを伴う場合や、高齢者では聴力改善の程度が小さくなります。

突発性難聴はできるだけ早急に受診を

突発性難聴はできるだけ早急に受診をウイルス感染や血液循環障害によって傷ついた有毛細胞は、一旦傷害されると再生しません。変性が進んでしまうと細胞は元に戻らないため、聴力の回復も難しくなります。
したがって、有毛細胞の傷害が進行していない、発症後2週間以内に治療を開始することが、聴力の回復において重要です。
「おかしいな」と感じたら、放置せず、1日でも早く当院にご相談ください。

「キーン」「ジー」などの耳鳴り

「キーン」「ジー」などの耳鳴り飛行機に乗った時、車・電車でトンネルを通過する時など、気圧の変化によって一時的に耳鳴りが起こることがあります。こういった一時的な耳鳴りについては、心配はいりません。
ご高齢で、何年も前から耳鳴りが続いている人も多いですが、老人性難聴にともなう耳鳴りに対する有効な治療法はありません。
しかし、急に耳鳴りが生じて長時間続く、短時間の耳鳴りが繰り返される場合には、何らかの耳疾患をともなう場合があります。「キーン」といった金属音や、「ジー」というテレビの砂嵐のような音にかかわらず、お気軽にご相談ください。

耳鳴りの種類

耳鳴りは、自分自身にしか聞こえない自覚的耳鳴りと、医師にも聞こえる他覚的耳鳴りがあります。

自覚的耳鳴り

自分自身にしか聞こえない耳鳴りで、ほとんどの耳鳴りはこの自覚的耳鳴りです。老人性難聴や突発性難聴など、内耳の傷害が原因になっていることが多いです。

他覚的耳鳴り

聴診器などを使用すれば、医師にも聞こえる耳鳴りです。診察時に教えていただければ聴診します。高血圧、血管病変、腫瘍などの原因が考えられます。

耳鳴りの原因

老人性難聴、突発性難聴、メニエール病、聴神経腫瘍、中耳炎、血管病変などが原因になります。うつ病などの心の病気があると耳鳴り症状を強く気にする傾向があります。

耳鳴りの症状

耳鳴りの症状

耳鳴りがあると、人によっては集中できず、勉強や仕事に支障が出る、イライラする、不眠などの症状がでてきます。
耳鳴りを記録することや他覚的に検査で評価することはできませんが、当院では自覚している耳鳴りの苦痛度を問診票で評価しています。

耳鳴りの治療

原因疾患の治療

検査により耳鳴りの原因となる疾患が見つかった場合には、その疾患の治療を行うことで、耳鳴りを含めた症状の改善が期待できます。

補聴器の装用

加齢を原因とする老人性難聴、難治性の難聴などがある場合は、補聴器の装用を検討します。脳への音の入力が減ることに対する脳の反応が耳鳴りの原因になっていると考えられます。実際に補聴器を装用することで耳鳴りが気にならなくなる場合があります。
補聴器によってコミュニケーション能力を取り戻すことで、日々の生活の質が向上します。また、社会性の低下、認知症の発症・進行を防ぐ効果が期待できます。

TRT(音響療法)

当院では行っておりませんが、耳鳴りそのものを改善するのではなく、耳鳴りから意識からを遠ざけることで、日常生活への支障を軽減するという治療です。実際の治療では、耳鳴りよりやや小さい音量で別の音を聞き、相対的に耳鳴りに対する違和感を和らげます。

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