声がかすれる・声が出しづらい
保育士さんや教師など、声を出す職業の人や、カラオケや応援でのどを酷使した後には、「声がかすれる」ことが多いと思います。「声がれ」は身近な症状の1つで、通常はのどを安静にしていると、自然に軽快します。かぜをひいたときの「声がれ」も、のどの炎症が治まるとともに改善します。
しかし、長期にわたって声がかすれる・声を出しづらい症状が続く場合には、声帯ポリープや声帯結節などの声帯の異常が原因になっていることが多いです。
一方、喫煙者では、喉頭がんが「声がれ」の原因になっていることがあります。声の異常が続く場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。
声を出すのどの仕組み
「声帯」は開いたり閉じたりして、呼吸や発声にかかわっています。声帯の振動によって音を出すことができますが、その緊張を変化させることで、音の高低を決めることができます。
声がハスキーになるのはなぜ?
声質にはもともと個人差があり、声が高い・低い、太い・細いなどさまざまです。声帯の大きさや形状だけでなく、吐く息の量や体の大きさなどによっても声質は変わります。一般に、高齢になると声帯の緊張が弱くなり、若い時のような張りのある声が出しにくくなります。
ハスキーな声は個人の特性による場合もありますが、声帯ポリープや声帯結節などの声帯の病変がある可能性が考えられます。そのほか、喉頭がんや、甲状腺がんに伴う声帯麻痺なども、ハスキーな声の原因になります。
声帯ポリープ
声帯ポリープの原因
保育士や学校の教師など、声の酷使する人にできやすく、声帯の安静を保つことができれば、軽快することもあります。喫煙習慣のある人や、発声方法が悪い人にできやすいです。
声帯ポリープの症状
以下のような症状が見られます。
- 声がれ
- 声が低くなる
- 喋っている途中に声が途切れる
- 声を出すのがしんどい
- のどのイガイガした感じ
- 声が漏れる感じがある
- 呼吸困難(大きなポリープの場合)
声帯ポリープを放置するとどうなるの?
声帯ポリープを放置して、声を出し続けていると、声がれなどの症状が強くなり、仕事に支障が出てきます。声帯ポリープが増大して、呼吸にも影響が出る可能性があります。簡単な手術加療で声帯ポリープを切除することができます。喉頭がんが原因の場合には、早期治療が重要です。がんを放置することがないように、早めに耳鼻咽喉科にご相談ください。
喫煙は喉頭がんとともに声帯ポリープの原因にもなります。喫煙の習慣のある患者さんは禁煙してください。
声帯結節
左右の両側の声帯の一部が硬くなった状態を「声帯結節」と言い、声帯ポリープと同じように、声を出す職業の人に好発します。
声帯結節の原因
声帯結節の原因は、声の酷使にあり、日常的に強い刺激を受け続けることで、声帯の粘膜上皮が硬くなります。
無理な発声をやめて、声帯の安静を保つことができれば、自然に軽快することが多いです。
声帯結節の症状
主に、以下のような症状が見られます。
- 声がれ
- 声が硬い印象になる
- 喋り続けていると途中で声が出なくなる
- 声が漏れる感じ
声帯ポリープ・声帯結節の治療
保存療法
できるだけ声を出さないように、無理な発声をしないことに注意して、声帯の安静を保ちます。
軽度であれば1~2カ月で改善しますが、それ以上の時間がかかるケースも少なくありません。
手術
全身麻酔で顕微鏡下に切除術を行います。手術後、1週間程度は声を出さないようにする注意が必要です。
手術が必要な場合は、提携する病院をご紹介します。